工事着工以降~再入居まで

 権利変換計画が決定すると、いよいよ工事着工に向けて具体化していきます。工事請負契約、仮住居への引っ越し、解体工事、新築工事着工、完了と、新しい生活に向けて、建替え事業はめまぐるしく進捗していくことになります。

●工事請負契約の締結

 決定した権利変換計画から、軽微な変更などの最終調整を得て、設計の最終的な内容が確定します。その後、建設会社との建替え工事の請負契約の締結となります。建替法施行前は、法人格がないため建替え参加者全員が個別に業者と契約を締結しなければならないケースが殆んどでした。建替法後は、法人格をもった建替組合が工事請負業者と契約を結びます。

●住戸の明け渡しと仮住居への引っ越し

 権利変換期日を境に、旧マンションの所有権は建替組合に移転します。これに伴い、施行マンションを目的とする区分所有権以外の権利は消滅します。所有権を失った従前からの居住者は、引越し準備等もあるため建替組合からの請求があった日から31日目の期限までに明け渡すことが決められています。

 建替組合は早い段階から事業協力者や行政、URなどの協力を得て仮住居先探しを支援することが必要です。とくに高齢者については建替組合が保証人になるなどの措置も含めて充分なケアを行いたいものです。

●個別事情への対応 

 住戸の明け渡しに向けては、各区分所有者が個別に解決しなければならないさまざまな問題があるのが一般です。資金調達の問題、工事期間中の仮住居の問題(民間・公的住宅等の斡旋)、相続が発生している場合の相続人の存在の確認など問題は多方面にわたります。コンサルタントを中心に弁護士や司法書士、税理士などの専門家と協力して個別に問題を解決できる体制を整えましょう。

●管理規約の認可

 建替組合は市区長の認可を受けて新しいマンションの管理規約を定めることが可能です。この管理規約は区分所有法30条第1項の規約とみなされます。なお管理規約の設定には、組合員数及び議決権の各4分の3以上の賛成による決議が必要です。

●工事完了後の手続き

 新しいマンションの工事が完了すると、すみやかに建替組合は公告し、登記(新マンションの表題登記)をしなければなりません(それまでは他の登記はできません)。また、工事費用について確定し、最終的な清算業務を行わなければなりません。新マンションに掛かった工事費等の変動から生じた建替え後の資産額と旧マンションの権利分の差額について清算が行われます。

●再入居と新管理組合の設立

 新マンションに権利変換の後、区分所有権が帰属した時点から、区分所有建物となり新たな管理組合が発足し、認可を受けた管理規約も効力を発します。

 しかし組合の実際の運営については、初めの総会(設立総会)が開催され理事会が発足した後となりますので、その期間は委託する管理会社にて暫定管理を行うことが一般的です。

合意形成のポイント

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