推進決議が採択されたことを受け、設計者や事業協力者を選定し、各種調査を実施するなど建替え計画の内容を具体的に精査し、実現可能な計画とするための検証を行います。当該計画で建替えを行うか否かの判断を区分所有法上の「建替え決議」というかたちで行うのがこの計画段階です。
●「建替え計画委員会」の設置
推進決議において建替え計画を具体的に検討することが決議されたことを受け、検討のための組織体制も徐々に強化していくことが望まれます。団地では各号棟、マンションでは各フロアなど一定の単位からバランス良くメンバーを募り、委員会での計画検討の状況や活動内容を広く周知したり、説明会などへの一般組合員の出席を促すなどの活動を地道に積み重ねていくことが重要です。管理組合の執行機関である理事会との意思の疎通や連携にも十分留意してください。
●専門家と事業協力者の選定
建替え推進決議がとれたことで、建替え決議を目標に置き、建替え計画委員会により、計画をより具体化する段階です。現実化に向けて、組合員内での合意形成・事業計画の試算、その他行政や近隣住民との交渉協議等々、建築や不動産の専門的な知識が必要になる段階であり、組合員だけで計画を進捗することは困難であるだけでなく、トラブルの原因となります。建替えの経験、実績のある専門のコンサルタントを導入し、早期に課題を発見しつつ事業を推進することが必要となってきます。
また、建替えにより「保留床」(余剰床)が生み出される場合は、これを確実に売却し資金調達にあてることが必要です。実際、実現事例の多くは、保留床売却で事業費の過半を賄うことで区分所有者の負担を軽減し、合意形成を実現しています。この段階では将来の保留床の取得を約束するデベロッパー(不動産開発会社)を「事業協力者」として選定し、事業の成立性を担保するようにしています。
事業協力者を選ぶ方法としては、①比較競争によらず特定の1者を選ぶ「随意契約」方式と、②候補者を複数挙げ競争により選択する「事業コンペ(プロポーザル)」方式の二方式があります。選定手段において重要なことは、結果の妥当性よりも、過程の透明性・公平性を確保し、結果的に組合員全体の納得感を高めることです。後に円滑な運営が出来るということです。また、諸条件についての協議は、コンペにおける選定が決まってしまった後では条件交渉の余地が限られてしまうため、選定前から行い、その際、「覚書」を締結しておくことが、のちのトラブルを防ぐことになります。