マンション建替え進める「判断基準」

マンション建替え

[1]どのくらいの建物が建つか?

  先ずは現在の建物規模を確認してください。手近なところでは通常、管理規約で”建物概要“が、きちっと記載されています。記載されていない場合は検索サイトでマンション名と地域を入れて不動産仲介サイトで建物規模を確認すればほとんどのマンション概要がわかります。

 そのなかで、“敷地面積”と“延床面積”に着目する。例えば、私の住んでいる都内某地区のマンションですと、

   敷地面積 435.14㎡ A  延床面積 1525.77㎡ B

   A/B=3.5 ⇒350%

マンション所在の市、区町村の各々のホームページにアクセスし、都市計画、地域地区を検索し、「地域地区」の『容積率』を確認する。私のマンションの場合は

 近隣商業地域 建ぺい率80% 容積率400% となっていたので

「容積率」は400% 今の建物は350%なので、あと50%は建設可能となる具体的には435.14㎡×50%=217.57㎡ は大きくすることができるということです。

 この地区は道路拡幅で都市計画が変わり、前面道路の制限がなくなり、容積率が増えました。ほとんどの建物は容積率がぎりぎり迄、建設されているのが一般的です。この余剰容積があればあるほど、「建替え」事業が円滑に進む要因となります。40年、50年の変遷でこの都市計画はかなり変わっている可能性があります。200%が400%に増加してたり、300%が600%に増加していれば、「建替え」はより円滑に進む可能性が大いにあります。

 また、マンション敷地が1000㎡以上(原則、最低500㎡)あれば、一定の条件が揃え ば、行政より容積率アップが許可されることがあります。耐震不足建物についても同様の制度がある。余剰容積分を売却し、その売却費用を建替え費用に充当するという考えですので、余剰が多ければ多いほど事業は楽になります。

 しかし、総合設計制度や耐震不足等の容積率の割増許可は、ある程度の経験がある設計士に相談し、確認した上での判断となります。

 逆の場合もあります。

 日影規制は1976年に導入された規制です。それ以前に建設された建物には規制がありませんでした。その後に導入された規制で「建替え」た場合は、当然に新たな規制を受けることとなり、容積率通りに建設できなく、容積率が減る可能性すらあります。

 「建替え」がより円滑におこなえるのは、「建替え」後の建物がより大きくなることです。それは、敷地の都市計画の状況で判断できます。区分所有者の中に建築関係の人間がいればその人に、いなければ、外部へ相談する必要があるでしょう。

[2]マンションの価格

 「建替え」を進めるかどうかの判断基準は建物規模の伸びと同様に、マンション価格が重要な要件となります。

 今の建物と新築価格の差異がどれくらいあるのかで「建替え」事業に耐えうるかを判断することとなります。建築費は一般的に延べ面積に対し、㎡当たり30万円から37万円(設計、立地等で大幅に違うことがある)とすると、専有面積(共用以外の面積)割合を80%の場合、専有面積当たりの建築費は38~46万円/㎡となります。

 仮に、自分が今、住んでいるマンション。都内某地区の築15年の場合を例にすると、

 マンション価格は44万円/㎡(専有)。

 同じ地域での新築価格が121万円/㎡(専有)

 ※不動産仲介サイト「ホームズ」等でわかる

 121万円―44万円=差が77万円/㎡

 建築費(38万円/㎡とすると)から2倍以上差があれば還元率(無償で取得する割合)が50%以上になり、「建替え」としては成立する可能性があります。この差額が建築費も賄えないようなら、進めることは困難である場合が多いです。

[3]増床負担金           

 今の「建替え」事業は区分所有者の負担金が発生する案件がほとんどです。負担してでも進めることにそれなりのメリットがある。しかしながら、それにも限度があります。

 私は、2000~3000万円が限度であると考えます。

 住宅金融支援機構には高齢者向け返済特例(リバースモゲージ)という制度があります。60才以上であれば、毎月の支払いは利息のみで、元金は死んだときに一括返済するという商品です。限度額は2000万円。限度額いっぱいに借りても、金利が1%ととした場合、年間支払が20万円となり、十分に資金計画は成り立ちます。

 機構には住宅取得に関わるフラット35という商品もあり、子供さんとの連帯債務とすることで、子供さんの返済年数を利用できるという商品も上手くはまれば負担感は和らぎます。返済期間を丸々35年とすれば、返済計画は十分余裕を持ったものとなるし、将来的には、新しいマンションは子供さんが引き継ぐという意思表示が確固たるものとなります。

 ※住宅金融支援機構 http://www.jhh.go.jp/

 このフラット35は「建替え」だけに限ることなく色々なところで汎用しやすい商品です。私自身もマンション購入の際、娘と連帯としてもらい(当然に支払いは私だが・・)35年返済を計画したことがあります。支援機構は旧住宅金融公庫なので、安心できます。窓口は一般の金融機関で扱っています。

 支援機構の商品を対象に例をあげて、「建替え」の負担感を和らげる方策を紹介させていただきしました。個人による差はあるものの、増床負担金は2000~3000万円程度が限度ではないかと考えました。

 これらの借入には『建替組合』が認めれば仮住宅費用も含めることができます。

㈱タウン・クリエイション :http://www.towncreation.co.jp

 note:    http://note.com/nakamark 

 blog:    http://msaiseiblog.livedoor.blog 

 twitter  http://twitter.com/nakamark 

コメント

タイトルとURLをコピーしました